接着不良
95気まぐれ日記先日、弊社にとって一番恐れていたことが起きてしまいました。
接着不良による水漏れのクレームです。
大変残念で、ショックな出来事です。お客様には大変不快な思いと不安を抱かせてしまいましたので、深くお詫び致します。
当該車輌は、今年3月に鈑金作業でリアゲートガラスを脱着したものです。
↑の写真が、外したガラスとボディ面に残った接着剤です。
ガラス面とボディ面にはしっかりと接着されていて問題はありませんでした。接着不良の原因は、なんらかの要因で硬化までの間に接着剤内にエアーが混入し、ウレタンの効果反応で炭酸ガスが発生し、発泡現象を起こした、というのが、接着剤メーカーの日本シーカ社の見解です。
じつはもう一件、これより1ヶ月位前に、同じような接着不良がありました。ちなみに、今年5月にフロントガラス交換をした車輌です。
ただこの際の日本シーカ社の調査結果を聞いた時には、施工不良も考えられるかなと感じましたので、もう一度接着剤の取り扱いを徹底することで様子を見ることにしました。
弊社は、現在使っている日本シーカ社の接着剤を使い始めて7年程度経ちます。このHPにも過去書いていますが、使用開始から現在まで、定期的に日本シーカ社の方に来社頂き、接着剤に関する講習をやって頂き、使い方の徹底から、推奨する副資材等まで、施工現場の条件にもよりますが、可能な限りメーカーの言われるとおりに取り扱いしてきました。その甲斐あって、今回のクレームがあるまで、過去3年間、接着不良による水漏れのクレーム件数がゼロでした。正直これは、弊社にとっては誇れるものでした。
しかしながら今回、絶対とは言えないまでも、施工が原因とは考え難い接着不良が残念ながら起きてしまいました。
接着剤内の炭酸ガス発生の要因には、いくつか考えられることがあり、ひとつに絞りきれることではないのですが、その要因をひとつでも減らすため、すぐにその接着剤を使用することを止め、日本シーカ社の別の接着剤を使用することにしました。接着不良の原因調査にもある程度時間がかかるため、その間にも弊社には施工依頼が毎日何件も続きますので、仮に製品の不良によるものだとしたら、接着不良車輌を増やしてしまうだけですから。大変失礼な言い方をすれば、水漏れで済めばまだ良いですが、例えば走行中にガラスが外れてしまったということになれば、安全面で大変な事になる恐れがあります。
そして先日、とりあえずの原因調査の報告会が開かれました。
残念ながら(予想はしていましたが…)、はっきりした答えは出ませんでした。日本シーカ社の言葉を借りれば『ひとつの要因ではなく、複数の要因が重なった』結果、接着不良に至ったということだそうです。
弊社のような、お客様にとっては一生に一度というような、極小ロットの事業者と、大量ロットの生産メーカーでは、明らかな考え方の相違があります。そのひとつは、”生産ロットの歩留まり”という概念が弊社のような事業者にはありません。エンドユーザー様にとっては一生に一度のアンラッキーの出会いに全力を尽くしているのが、我々自動車ガラス販売施工事業者です。たった一度の施工不良が、そのお客様には、ガラス交換へのマイナスイメージを植え付けてしまうのです。また、今回の問題で、エンドユーザー様の他に、鈑金業者さん、元請けのカーディーラーさんにもご迷惑をおかけしてしまいました。製品不良や施工不良の影響が、広く波及してしまうことを考えなければいけません。
接着剤に限らず、商材や材料の選定や、スタッフの商品知識や取り扱い方など、また今一度考え直す時が来たのかもしれません。
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